JMDC TECH BLOG

JMDCのエンジニアブログです

医療機関業務を支えるデータウェアハウスの開発話

こんにちは!株式会社JMDCの髙橋です。

医療機関支援事業部でDataSelectorという医療向けデータウェアハウスの開発PMをしています。

今年、JMDCではアドベントカレンダーに参加しています。 qiita.com

本記事は、JMDC Advent Calendar 2024 12日目の記事です。

今回は医療向けデータウェアハウス(DataSelector)の新規機能の開発に関わる話をご紹介します。

1.医療向けデータウェアハウスとは

まず、医療向けデータウェアハウスとは、ですが、「医療機関が日々生成する膨大なデータを統合し、効率的に分析できるようにするためのシステム」です。

医療向けデータウェアハウスを導入することにより、複雑な医療データの活用や業務の効率化が期待でき、医療の質を上げる手助けになります。

医療機関におけるデータの複雑さと医療向けデータウェアハウスの役割

医療現場では、患者の診察記録、検査結果、薬剤処方履歴、看護記録など、非常に多くのデータが存在しています。 これらのデータは、病院の各部門(医事課、看護部門、診療部門など)で管理されており、それぞれ異なるフォーマットやシステムで保存されています。

  • 診察記録データ:患者の病歴や診察結果
  • 処方データ:処方された薬の種類や服用歴
  • 検査データ:血液検査や画像診断の結果
  • 看護データ:看護計画や実施記録

データウェアハウスはこれらの分散したデータを一元的に集約し、患者が過去に処方された薬や症状、診断結果を迅速に把握することに役立ちます。

医療向けデータウェアハウスの構造

医療向けデータウェアハウスの利用場面

医療現場では主に以下の目的で利用されています。

<医師>

  • 膨大な患者データをもとにした臨床研究や論文作成などの資料作成を効率化する
  • 過去の治療データを分析し、最適な治療法を選択するための参考情報として利用する

<看護師>

  • 転倒転落や感染症などのリスクをデータから予測し、事故防止策を講じる
  • 医師や薬剤師、リハビリスタッフなどと情報を共有し連携を強化することでチーム医療を推進する

<薬剤師>

  • 薬剤の使用効果を患者の検査データから分析し、治療成績を評価し処方提案や治療方針の改善に役立てる
  • 薬剤の在庫状況を使用頻度を把握し、適正な発注を行うことで在庫の過不足を防ぎ、コストを削減する

<情報システム部、医事課、経営企画>

  • 経営指標(KPI)をDWHから抽出・分析し、経営層の戦略的意思決定のため利用する
  • 各部門が必要とする定型レポートを自動生成し、業務負担を軽減する
  • 各業務のプロセスをデータで可視化し、問題の特定や改善を支援する

2.JMDCが提供するDataSelectorのご紹介

JMDCでは医療向けデータウェアハウスとしてDataSelectorというシステムを提供しており、医療機関でのデータ利活用の課題解決に役立っています。

DataSelectorではデータ検索や集計、さらには帳票作成といった複雑な作業も可能で、専門知識がない方でも感覚的に操作していただけるようシンプルかつユーザーフレンドリーな画面構成となっています。

3.新規機能の開発話

新規機能がなぜ必要たっだか

これまでのDataSelectorは、個別に管理された各データを一元化したうえで、単一のテーブル内でのみ検索・集計ができていました。

そのため、例えば「2024年01月以降に入院した糖尿病患者でインスリンが処方された患者」を特定しようとした場合、"入院患者情報"と"注射オーダー情報"2つのテーブルの検索結果を参照してシステム外で突合させる必要がありました。

今回、この突合をシステム内で実現できるよう、複数のテーブルを横断的に検索する機能を開発することになりました。

仕様検討の際に工夫した点

この新規機能を実装するにあたり仕様検討の際に工夫した点は、どのような「結合条件」のパターンを用意するか、です。

テーブルの結合として患者IDや日付などで「一致」あるいは「除外」するのはもちろんですが、医療データでは検査結果の"数値"や入院や処置の"期間"で絞り込むことがよくあります。

そのため、医療現場で具体的にどのようなデータを参照するのかを考慮しながらパターンを洗い出していく必要がありました。

上記のような医療現場での利用場面をいくつも洗い出し、利用頻度の高いと思われるパターンの条件から実装することにしました。

その結果、例えば「2024年01月以降に入院した糖尿病患者でインスリンが処方されており、処方から1か月後の検査結果のHbA1c値が8以上の患者」というような複雑な検索もシステム上で確認することができるようにしました。

4.まとめ

今回新規追加する機能は絶賛開発中のため画面等は公開できないのですが、医療データの複雑性を加味しながら仕様を決めていく開発PMの業務が少し伝わったのではないでしょうか。

今後も機能改善を行い、ユーザーが使いやすいシステムを目指していきます!

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

明日13日目は、後藤さんによる「Oracle Data Pumpとシェルを使って本番からテストへのデータ移行ツールを作成してみた」です。お楽しみに!

JMDCでは、ヘルスケア領域の課題解決に一緒に取り組んでいただける方を積極採用中です!

フロントエンド /バックエンド/ データベースエンジニア等、様々なポジションで募集をしています。詳細は下記の募集一覧からご確認ください。 hrmos.co

まずはカジュアルにJMDCメンバーと話してみたい/経験が活かせそうなポジションの話を聞いてみたい等ございましたら、下記よりエントリーいただけますと幸いです。 hrmos.co

★最新記事のお知らせはぜひ X(Twitter)、またはBlueskyをご覧ください! twitter.com bsky.app