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なぜこの機能を作るのか?現場起点でたどり着いた答え

はじめに

こんにちは!プロダクトビジネス本部 プロダクト企画部 WORK企画G 森山です。

私たちは、日本でも最大級の医療データを保有するヘルステック企業で、個人向けPHRサービス「Pep Up」や健康診断・レセプトデータを活用したサービスを展開しています。

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現在は新たに、企業向けの産業保健領域にも挑戦しており、従業員の健康を支えるプロダクトの開発を進めています。 私自身はその開発チームでリードエンジニアを務め、プロダクトマネージャーや営業と連携しながら、プロダクトのあるべき姿を考えながら開発をしています。

lp.pepup.work

この領域では「とりあえず導入して終わり」「形だけ整っていて、実際にはあまり使われていないプロダクト」も少なくありません。 私たちは、個人向けPHRサービスで得た知見と、医療データの活用ノウハウを強みに、実際に使われ、現場に根付くプロダクトを目指しています。

従業員の健康にインパクトを与えるためには、行動変容を後押しできる設計が必要であり、それを支える現場の産業保健スタッフの方達の負担を減らすことが不可欠です。 この2つを両立するプロダクトをどう実現していくのか—— 今回は、その一端が垣間見えるような、ある開発エピソードをご紹介します。

① 最初にあったのは、よくある“当たり前”の企画

年初にチームで開発ロードマップを検討していた際、その中の一つとして挙がってきたのが、ある新機能の開発案でした。 発端は、競合他社のプロダクトに搭載されている機能をベンチマークしたもので、「うちもそろそろこの機能が必要なんじゃないか」という、ある意味“当たり前”の企画でした。

すでに社内でもある程度イメージが共有されていて、「どう作るか」を詰めればいい段階。実装に向けた準備を進めていく流れになっていました。

ただ、進めるうちに、「本当にこれでいいのか?」という小さな引っかかりを感じる場面も出てきました。 そこで私たちは、改めて現場の声をじっくり拾い直すことにしました。

② 「本当に求められているものは何か?」を問い直す

お客さんに直接ヒアリングする機会を設けてもらったり、営業から改めて具体的な要望を聞き取ったり、さらに産業保健に詳しい有識者の方々にも相談しながら、課題やニーズを整理していきました。

すると、当初の企画の前提になっていた「こういう機能があれば便利なはず」という想定が、実際の現場の実態とは少しずつズレていることに気づき始めました。

「これは本当に使ってもらえるのか?」 「逆に、現場の負担を増やすだけになってしまうのでは?」

そんな問いがチームの中でも自然と生まれるようになり、最終的には当初予定していた機能の方向性を見直すことにしました。 単なる機能の追加ではなく、この機能がプロダクト全体の中でどんな役割を果たすべきかを考え直すタイミングだったと思います。

③ ゼロからの再設計とUIの見直し

機能の再定義にあわせて、UIも一から設計をやり直しました。 特に意識したのは、「入力する人が迷わず、できるだけ負担を感じずに使えること」。

日々忙しい産業保健の現場で、ツールの使いづらさが負担になってしまっては本末転倒です。 私たちはJIRAなどのチケット管理ツールも参考にしながら、「こうすれば使いやすい」と思ってもらえるUIを模索しました。

このときは、デザイナーからもいくつかのUIパターンや操作フローの提案があり、ユーザー視点での改善のヒントをもらうことができました。 チームとして意見を出し合いながら、「誰がどんなシーンで、どう使うか」に立ち返って設計することができました。

入力のしやすさだけでなく、使う中で自然と状況が整理され、次の行動が取りやすくなるような構成を目指しました。

④ 時間はかかったけれど、やってよかったと思える開発

当然、仕様やUIを大きく変えたことで、当初のスケジュールにも大きな影響が出ました。 3ヶ月でのリリースを予定していたところ、最終的には約1年かかることになりました。

形だけのものを急いで作るのではなく、現場で本当に使われるものを届けたいという思いが、チームの中でも少しずつ芽生えていき、スケジュールや他の開発との兼ね合いを見ながら、手探りで進めていきました。

時間はかかりましたが、必要な調整や議論を重ねながら、少しずつ完成に近づけていったプロジェクトだったと思います。

⑤ 現場から届いた声が、すべてを肯定してくれた

ベータリリース後、実際に現場で使ってくださった方からは、

「これ、使いやすいですね」 「現場のこと、ちゃんと考えてるなって感じます」

という声をいただくことができました。

そのひと言だけで、長くかかった開発の苦労がすっと報われた気がしました。 現在は、その機能を評価していただいたことが、新たな導入の後押しになる場面も少しずつ増えてきています。

⑥ 最後に:現場に届くプロダクトを、一緒につくっていける人へ

今回のように、当初の計画から大きく方向転換し、試行錯誤を重ねながら進めた開発は、私たちにとっても大きな経験になりました。 そして改めて感じたのは、プロダクトが使われることの意味は、仕様や機能の正しさだけではなく、現場でどう受け取られるかにあるということです。

私たちは、プロダクトマネージャーや営業と同じ目線で、ユーザーのことを考えながら、柔軟に、丁寧にものづくりを進めています。 まだまだ答えのないことばかりですが、だからこそ、面白いとも感じています。

もしこの記事を読んで、 「現場に届くものをつくりたい」 「正解のないテーマに、一緒に向き合っていきたい」 そう思っていただけたなら、ぜひ一度カジュアルにお話しできるとうれしいです。

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